【経営管理ビザ厳格化】2025年法改正ガイドと今後への影響
- minainvestjapan
- 11月11日
- 読了時間: 8分
【重要】経営管理ビザの厳格化について
(30秒でわかる!経営管理ビザの改正要点)
・いつ:2025年10月16日から施行。受理済み案件は原則旧基準で審査、在留中は最長3年間の経過措置。
・何が変わる:資本金3,000万円以上引き上げ、常勤1名必須、日本語B2/N2、関連分野の修士・博士・専門職学位、または経営・管理実務3年以上、事業計画の専門家確認など。
・誰に影響:これから申請する人はすぐに新ルールが適用されます。すでにビザを持っている人も、更新の際に経営実態や納税・雇用状況のチェックが厳格化。
・まず何を:資金計画の見直し、日本語N2レベルの人材採用と社会保険体制の整備、必要な許認可の確認、そして専門家による事業計画のレビュー。
【2025年10月16日施行】経営管理ビザ法改正のポイントと実務対応
2025年10月16日に施行される新基準により、経営・管理ビザ(経営管理ビザ) は大幅に見直されます。
これまでの資本金要件「500万円以上」は、3,000万円以上 へと引き上げ。
さらに、常勤職員の雇用義務、日本語能力B2(JLPT N2)相当の体制要件、専門家による事業計画の確認制度 など、新たな審査基準が追加されます。
加えて、2025年7月以降はビザ更新審査も実務レベルで厳格化。
経営実態や納税状況、雇用体制などの確認がこれまで以上に重視されます。
本記事では、改正の背景、外国人起業家・事業会社への影響、経過措置と更新時の注意点、そして許可獲得につながる実務対応(資金計画・採用・コンプライアンス)について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
目次
1.経営管理ビザ
2.【2025/10/16施行】経営管理ビザの法改正(2025年)—ポイントと実務対応
3.改正の背景
4.外国人起業家への影響
1.従来の経営管理ビザ
「経営・管理ビザ」とは、日本で会社を設立し、経営者または管理者として事業を行う外国人が取得する在留資格です。これまでの主な要件は以下の通りでした。
・資本金500万円以上(または常勤職員2名以上の雇用)
・事務所(オフィス)を確保していること
・事業の継続性・安定性を示す事業計画2.【2025/10/16施行】経営管理ビザの法改正(2025年)—ポイントと実務対応
1.主な要件の改正
1.常勤職員の雇用(新設)
会社等で1名以上の常勤職員の雇用が必須となります。対象は「日本人・特別永住者・法別表第二該当者(永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者)」です。
📌コメント:旧制度の「資本金500万円または2名雇用」から、最低1名での常勤雇用が必須化されました。採用計画の立案と同時に、社会保険・労働保険の加入手続きを早期に進めることが重要です。
2.資本金要件の大幅引き上げ【500万円→3,000万円】
・法人の場合;払込済資本金または持分の総額で判定。
・個人事業の場合;事務所の確保費用、1年分の人件費、設備投資額などを合算した投下総額で評価されます。
📌コメント:資金計画を立てる際は、現預金と借入金(負債)を明確に区分し、資本性や返済条件を整理しましょう。増資を行う場合は、払込証明書・登記簿謄本・送金記録など、手続きの時系列を示す証憑書類を整備しておくことが大切です。
3.日本語能力要件の追加【B2/JLPT N2 水準】
申請者または常勤職員のいずれかが、B2(日本語能力試験N2、BJT400点相当) 以上の日本語力を有する必要があります。在留20年以上の実績、または日本国内での高等教育修了などでも代替確認が可能です。
📌コメント:外部証明書による立証が最も確実です。N2レベル保持者を雇用して体制で要件を満たす方法も現実的です。採用段階から人材要件を意識した体制設計を行いましょう。
4.経歴要件(学歴・職歴)
関連分野の修士相当以上または経営・管理3年以上
📌コメント:履歴の実在性と連続性を示すために、在職証明書・納税証明・登記・契約書など、第三者資料を突合して整備することが重要です。
5.事業計画書の専門家確認【義務化】
中小企業診断士・公認会計士・税理士の確認が必要(弁護士・行政書士は確認者の対象外)。
📌コメント:計画書では、収益モデル・採用計画・社会保険費・資金繰り表・許認可の見通しを具体的に数値化し、合理性と実現性を示すことが求められます。早期に専門家へ相談し、申請段階で整合性の取れた計画書を準備しておくことが成功の鍵です。
2.申請に関する取扱い(実務上の注意)
法改正後は、「形式的な経営」や「実体の乏しい事業運営」では在留資格の許可・更新が難しくなる点に注意が必要です。実務上、次の項目が重点的に審査されます。
・業務委託のみで実態の薄い経営は対象外。
・自宅兼オフィスは原則不可。改正後の規模に応じた事務所が必要。
・永住許可・高度専門職への影響:改正基準不適合だと一部の在留変更/永住許可は不可。
・長期出国が続くと更新不可リスク。
・更新時に公租公課(労働/社保/税)の履行確認を強化。
・必要な許認可は取得状況の資料提出(正当理由があれば次回更新時までの猶予可)。
3.経過措置
・新規施行前に受理された申請は原則改正前の基準で審査継続。
・すでに在留中の方の更新:施行日から3年経過までは見込み等を踏まえて総合判断。
・3年経過後の更新は改正後基準に適合が必要(良好な経営と納税があり次回までに充足見込みがある場合は総合考慮あり)。
・「特定活動(51号・未来創造人材)」からの変更は、施行日前の申請分は旧基準、施行日以降は新基準を準用。
3.改正の背景
今回の省令・告示改正は、単なる資本金基準の引き上げにとどまらず、「起業の実体確保」と「経営の持続可能性」を重視する審査への転換を狙ったものです。
入管庁は、資本金等の目安を3,000万円に引き上げるとともに、以下の複合的な要件を新設・明確化しました。
・常勤職員の雇用義務
・日本語能力B2(JLPT N2)相当の運用能力
・経営経験や学位の確認
・事業計画書の専門家による合理性確認(中小企業診断士・会計士・税理士)
これにより、形式的な会社設立や短期間で消滅する事業を抑制し、実体のある経営のみを在留資格の対象とする方針が示されています。
ここ数年、近年、外国人起業関連申請は増加している一方で、実態の乏しい「名目上の経営」や事業規模・運営能力が不足した参入も少なからず見られました。
これに伴い、短期廃業や在留目的化(ビザ目的)への懸念が高まっていたことが、今回の改正の背景です。
報道や専門家解説では、今回の改正は「量から質」への転換として位置付けられています。
改正により参入のハードルは高くなる一方で、参入後の信用力や事業の持続性の向上が期待されています。特に、資本金基準の引き上げと常勤職員の雇用義務は、創業初期から内部統制やコンプライアンス体制を整備する動機付けとなります。
また、これにより金融機関や取引先に対する初期与信にもプラスの効果が見込まれ、事業運営の信頼性向上につながると指摘されています。
4.外国人起業家への影響
今回の改正は、単に「入国管理上のハードルが上がった」という話にとどまりません。
資本・人材・ガバナンス・コンプライアンスの4点で、事業の「土台」を改めて求め直す内容です。
結果として、参入数は減少する一方で、参入後の事業の持続性や信用力は底上げされやすくなります。
以下では、メリットとデメリットを、実務上起きる具体的な変化として整理します。
メリット:質の高い参入と信用力の底上げ
1. 健全な事業環境の整備と競争の質向上
・資本金3,000万円や常勤職員雇用、日本語B2相当などの要件は、名目上の起業を抑止
・市場には実体のある事業計画と履行能力を備えた起業家が残る
・価格競争よりも品質・サービス・運営力での勝負にシフト
・真剣に準備した起業家にとっては、差別化の追い風となる
2. 取引先・金融機関からの評価向上
・資本金は取引開始審査や口座開設、与信判断で最初に確認される指標
・3,000万円は日本の中小企業設立規模として十分で、初期審査が通りやすくなる
・決済や資金調達のボトルネックが減り、事業立ち上がりの速度が向上
3. 組織運営の型が早期に整う
・常勤職員の雇用、社保・労働保険の適用、税・社保の履行確認、事業計画の専門家確認など
・創業段階から内部統制・記録管理・法令順守の水準が底上げ
・融資・補助金申請・監査対応にも良い影響4. 人材確保と顧客コミュニケーションの改善
・日本語B2相当保持者を申請者または常勤職員に配置することで、商談・契約・当局対応が安定
・クレーム対応や手続のレスポンス改善により、評判や再発注率の向上につながるデメリット:参入障壁の急上昇と移行期の不確実性
1.資金調達と人件費の負担増
・資本金3,000万円または投下総額と常勤雇用の維持は、初期キャッシュバーンを増大
・スモールビジネスには過大な初期投資となり、黒字化までの資金繰りが最大リスク
・資本性の薄い借入で補填すると、運転資金枯渇の懸念
2.「検証型」スタートアップの柔軟性低下
・従来は小規模で早期学習可能だったが、改正後は最初からフル装備が必須
・検証コストが上昇し、撤退時の損失も増大
・日本以外での先行検証動機が強まる可能性
3.既存保持者の更新リスクと運用待ち
・旧基準で取得済みの場合、更新時に活動実態・公租公課履行・雇用体制が重点確認
・「会社はあるが経営実態が薄い」ケースは厳格化
・運用細則や入管窓口の運用が固まるまで個別案件ごとの不確実性
以上が、今回の経営管理ビザ改正による外国人起業家への主な影響の整理です。
本記事ではポイントを中心に解説しましたが、具体的な対応策や手続きの詳細については、次回の記事で順次ご紹介していく予定です。
引き続き、皆さまの起業準備や事業運営に役立つ情報をお届けしますので、ぜひご参考ください。



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